神か、けだものか。<br />アラカシの枝の股から滲みだし、四足獣のかたちをとった「それ」は、予知と記憶のあいだで引き裂かれながら、荒廃した世界の風景を横切ってゆく。<br />死体を満載した列車、空虚な哄笑があふれるカジノ、書き割りのような街、ひとけのない病院、廃墟化した遊園地。<br />ゆくてに待ち受けるのは、いったい何か?世界のへりをめぐるよるべない魂の旅を描く傑作小説。<br />