松江藩・松平出羽守御茶道頭の妻・登与には、不幸な過去があった。<br />冷やかな夫は妻を愛さず、外に女を置いていた。<br />夫の弟子・池田文次は、美しい登与を慕い、二人は結ばれるが、登与は身籠ってしまう。<br />どこまでも一緒にと、二人は大坂へ逃れるが、追手の夫に討たれてしまう。<br />――愛に生きた男女を切々と描く、傑作時代長編小説。<br />