固い絆で結ばれ、自分だけのものだと信じていた夫に、愛人がいた。<br />夫の外泊は公然化し、幸福な日々は過去のものになった。<br />夫をとり戻し、互いの心が一つに融けあえる日は、再び来るのだろうか? 夫を深く愛するゆえに、いっそうつのる悲嘆を胸に、夫との肉体的妥協を拒み、四半世紀に及んで孤閨を貫いた、女の愛と生を描く。<br />明治末年から敗戦に至る日本の運命を背景に、女の愛と非嘆の生きざまを描く長編小説。<br />