エゴン・シーレの作品「哀しみの女」という作品が、わたしの心を捉えて離さない。<br />わたしは、五つ年下のイラストレーター、章司と同棲している。<br />ずっと昔、板倉さんという雑誌記者に銀座のクラブを紹介してもらい、上京して出会ったのが章司だった。<br />章司は板倉さんの伝手で挿画を描かせてもらい、他社からも声が掛かるようになった。<br />が、章司の心がわたしから離れていく。<br />シーレのモデルで愛人だったヴァリーの人生と重なるように。<br />
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