手紙 ふたりの奇跡
秋田に住む小六の穂乃香は、亡き母の少女時代の大切な思い出の謎を探すため、勇気を出して長崎に住む耕治の小学校へ手紙を送る─。
『ふたり』が感想文全国コンクール課題図書に、『香菜とななつの秘密』が厚生労働省社会保障審議会推薦児童福祉文化財に選ばれるなど、人気、実力を兼ね備えた現役教師作家、福田隆浩氏による感動作。
「この手紙は、長崎市の東山小学校に届いていますか? そして、6年生の吉野耕治さんの手元へ届いているでしょうか? そうなっていることを信じて、続きを書くことにします。
はじめまして! わたしの名前は清水穂乃香といいます。
秋田県秋田市にある桜坂小学校に通う小学6年生です。
吉野さんが、この手紙を読んでいるとしたら、きっとびっくりしていることと思います。
だって、会ったこともない、まったく知らない子から、突然こんな手紙が届いたのですから。
─中略─お母さんの人生って、いったいなんだったのだろう……。
最近、よくそのことを考えてしまいます。
自分のために生きていたのかなあって。
うれしいことあったのかなあ。
きらきら輝いていたことがあったのかなあって……。
でも、お母さんがすっごく笑って、本当に本当に楽しそうにしていたことがありました。
そう。
それが、長崎での出来事について、わたしに話してくれたときでした。
」(本文より)
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