夜になると人通りがとだえる、郊外の新興住宅街に、馬淵家がある。<br />小説家の夫、妻、思春期にさしかかった娘たち、そして一匹のブルドッグ。<br />彼らのさりげない日常のなかから、小さなドラマや人生の哀歓が、さざ波のように湧いては、また静まってゆく。<br />さわやかな叙情と確かな視点にささえられた、みごとな長篇小説。<br />