月と珊瑚
「わたしは、六ねんせいになったので、べんきょうをがんばります。
」ひらがなだらけの作文を、クラスメートに「あなた、ほんとに六年生?」ってばかにされた。
私は、「勉強をしよう」って、本当にそう思った。
まず、どうすればいい。
そうだ、漢字を書けるようにしよう。
日記だ。
日記を書こう。
これはちかいだ――。
勉強ができないことを恥ずかしいと感じ始めた少女・珊瑚のクラスに転校してきたのは、まるで『ベルサイユのばら』のオスカルのような、男の子か女の子かわからない月(るな)という子でした。
珊瑚の日記に描かれるのは、エイサーを舞う姿がかっこよかったり、ひいおばあちゃんが辺野古に座りこみに行ったり、耳をつんざくような戦闘機の轟音で機体の種類を当ててしまったり、その逆に轟音が聞こえると耳をふさいで動けなくなってしまったりする同級生たちの姿です。
珊瑚の「月と仲良くなりたいな」と思う日常を描いた、たどたどしい日記からは、沖縄の子どもたちが、いま、目にし、感じていることのすべてが浮かび上がってきます。
子どもの貧困、学力の差、沖縄文化の継承、そして米軍基地問題……。
沖縄に移住した作者があたためてきたテーマが、いま花開きます。
新たな児童文学の可能性がここにあります。
【対象:小学上級以上】
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