京都の畳職人・谷捨蔵は、昔に比べると仕事がめっきり減ってしまった。<br />近代化の波が、畳業界をも襲ったのである。<br />しかもあと継ぎ息子は、畳なんかはもう前代の遺物だといって、家業をかえりみず、バンドにうつつをぬかしている。<br />50年も畳一筋に生きてきた谷捨蔵の憂鬱は、深まるばかりである……。<br />という表題作のほかに傑作8編を収録。<br />