主人公の少年は、作者自身の分身ででもあるのだろうか。<br />……敗戦直後の日本へ飄然とかえってきた庄吉は、浮浪児になりながらも、一生懸命に行方知れずの母を探し続けている。<br />荒廃した東京の焼け跡で、大人たちにもまれて生きる庄吉の姿を、作者は温かい眼差しで見る。<br />哀しい鈴の音が少年の背中にひびく愛の名作長篇。<br />