夫亡き後、ちいさな町工場を細々と営む久美子は57歳。<br />心と躰に乾きを覚えながらも、邪心を振り払うがごとく健気に生きてきた。<br />タクシー運転手の寺坂との出会いが久美子を揺さぶる。<br />たやすくない人生を歩んできた男と女。<br />その軌跡は重なってどこへ向かうのか。<br />抑えた筆致の中に色気が漂う、おとなの恋物語。<br />