湯原直子がある邸から持ち帰った稀覯本(きこうぼん)は、直子の勤める古書店の客・磯部の蔵書から消えた品だった。<br />驚いた直子がその邸を再訪すると、もぬけの殻。<br />住人も家具も花壇もすべて、1日だけのトリックだった。<br />誰が、何のために? 1冊の古書の謎が、やがて過去の惨劇を明るみに出す。<br />練達の筆で描く出色サスペンス。<br />