風が辻を曲がるように、人生の辻をもうひとつ強引に曲がり、刑場へと消えていった男がいた。<br />昭和50年8月23日午前5時過ぎ、台風6号が近づく嵐のとき、大阪・寝屋川の団地で、新婚の夫婦を斧で惨殺。<br />その後、警察の目を逃れて豪遊をつづけていた神山隆は、12月7日、ついに刑事の来訪を受ける……。<br />ほかに中編「風の塵」を収録。<br />凄まじい迫力で殺人者の肖像を描き、殺人者の内部を通して人間の暗黒に迫る、犯罪小説の力作。<br />