海のある風景を背に、ひそやかにはじまる光と闇の物語。<br />海からのあふれんばかりの光は、心の闇に忍びこむ……。<br />光みなぎる海。<br />死の予兆をはらんだ海。<br />さまざまな海からの光が、心の奥にわだかまる暗い淵に射し込むとき、浮かび上がるひとつの青春、そして生のかたち。<br />彫琢された透明な文章が奏でる水晶の響き、背後の沈黙の深さは、まさに現代の神話。<br />小川文学の全体を示す作品集。<br />「青年司祭」「地中海の漁港」「鞭打苦行者」「父と子」「海からの光」を収録。<br />