河竹黙阿弥の死後、長男をさしおき、娘・糸女が歌舞伎作者の家を継ぐ。<br />相続や著作権をめぐるトラブルに巻きこまれながらも家を守る、生涯独身で謎的な女丈夫だった糸女。<br />そして坪内逍遙の仲だちで、養嗣子・繁俊をむかえることになる。<br />曽祖父・黙阿弥への想いと綿密な考証を重ねつつ、孫として演劇史家として渾身の力をこめ、糸女の「女の一生」と河竹家の歴史を描いた、実感的近代史。<br />読売文学賞受賞の名作。<br />