死が見えてくると、愛することは哀しい。<br />兄・竹雄の婚約者・沙織の心を奪い、自ら命を絶った弟の光也が残した「蜉蝣(かげろう)の箱」。<br />25年の時を経て、木箱に封印された言葉の意味を求め、竹雄と沙織は再会する……。<br />老いや死を意識しはじめた、男女の葛藤と性愛。<br />透明な感性で生の根源を精緻に描く、渾身の長編小説。<br />言葉のエロスが、肉体を突きぬける……過去の愛と死、そして言葉に宿る魂を追い求め再会する男女の性愛! 生と死と愛の極限!