しあわせなハリネズミ
幼年童話からYA、一般文芸まで幅広く活躍する藤野恵美氏による、大人もこどもも楽しめる、少しビターで心温まる新作絵童話。
(毎日新聞の「読んであげて」での連載を改稿)ともだちがいないけれど ひとりでもへいきなハリネズミは、考えることが大好き。
うさぎがバラの花をつけて自慢しても、きみにそんなものは似合わない、といつでも思ったとおりのことを言います。
背中のはりだけでなく、言葉もちくちくしているのです。
そんなハリネズミがある日、「たべられないし、やくにもたたない」どろだんごをつくっているもぐらと出会います。
小沢さかえ氏による油彩カラーとペン画の挿絵も豊富に掲載。
もくじ:さんぽ/であい/しごと/はちみつ/よあけ ハリネズミには、ともだちがいませんでした。
森もりをあるくときも、ひとりです。
けれど、まったく、きにしていません。
ひとりしずかにあるいていると、小鳥のさえずりが、よくきこえます。
ひとりしずかにあるいていると、はっぱのざわめきが、よくきこえます。
だれにもじゃまされず、ひとりしずかにあるくことが、ハリネズミはすきでした。
森には、おそろしいどうぶつもいます。
でも、だいじょうぶ。
ハリネズミのせなかには、するどいハリがあります。
じぶんの身は、じぶんでまもれます。
だから、ハリネズミはひとりでもへいきなのです。
─本文より。
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