森麻子は、京都の外国人観光客用ガイドである。<br />フィリピンの貿易商・ベルナスを案内して清水寺にきたとき、英文パンフレットの購入を頼まれた。<br />だが戻って来た彼女が目にしたものは、ベルナスの惨殺体だった。<br />そしてベルナスの右手には、1個の10円玉が握られていた。<br />彼は何を告げようとしたのか? 貿易と政争をからめた、意欲的推理長篇。<br />