おれには生きる場所があるのか……。<br />朝鮮人からも日本人からも疎んじられる、曖昧な存在に苦悶する、石時雄の叫びである。<br />天皇へのテロを妄想し、自殺を計る長い苦悩の闇。<br />焦燥や挫折の果てにみた、希望の光。<br />日本人の妻の愛と友人の励ましを受けて、力強く再生の道を踏み出す、帰化朝鮮人青年の心の遍歴と成長を描いた力作。<br />