旧満州の曠野に見棄てられ、死を待つばかりの重症結核患者。<br />その幽鬼ただよう悲憤を、反戦の気するどく追求した処女作「北満病棟記」。<br />看護士相手におどける俺を嘲笑う、女の冷やかな眼。<br />肉体に欠陥をもつ男が過去を暴かれ、おのれの全存在を否定される恐怖を描いた表題作。<br />ほかに、「相場師」「天穴は見えず」など7編を収録。<br />