哀しい異境へようこそ、傑作の初期短編集。<br />「魔界」へと続く作品群――戦後の東京で、青年と、神宮の森の樟(くすのき)をねぐらとする骨の軟らかい美少女との、愛欲を描いた「蝋人」。<br />主人公の男のシンボルの形をした「鼻」を見て、女性が群がる「陰茎人」。<br />グロテスクな表現の中に、風刺とユーモアと哀愁を込め、医学的知識をも駆使して人間の<性>を描いた、山田風太郎の初期短編集。<br />全9編を収録。<br />