師匠は私を作家にしてくれた二度目に会った時はお骨になっていた苦節の十年、彼はずっと後ろに「いて」くれた私淑する宇宙的私小説作家・藤枝静男。<br />その深淵を新エピソードとともに読み解く。<br />他の誰にも書けない、敬慕の情に満ちた「師匠説」。<br />師匠!師匠!戦争、拷問、結核を超えキリストもマルクスも彼は信じない仏像を床の間に置き天皇を叱る一日に四百人の眼球を診察し茶碗が空を飛ぶ私小説を書いた