晴れ、時々くらげを呼ぶ
現役大学生、受賞!第14回小説現代長編新人賞。
早くも応援の声、続々!読みすすめながら、ふと、この小説はぼくが書いているのかもしれない、とおもった。
読了後、ほんとうにそうだった、とわかり、こころの底が熱くなった。
読んでいるひとと書いているひとが、ただひとつにつながれる。
読書のささやかな奇跡が、すべての読者の上に、くらげのように降りおちる。
―いしいしんじ『その日のまえに』『バッテリー』『重力ピエロ』『四畳半神話大系』『スロウハイツの神様』……学校の図書室にこもって本を読みふけり、「私は孤独だぜ」とものすごく傲慢に思っていたあの頃、ずっと彼らを待っていた。
―額賀澪今すぐ自分の好きな本を読み返したくなるような、本への愛を感じる物語でした。
本が好きな方、そしてこれから好きになる方に読んで欲しいです。
―武田綾乃内容紹介:高校二年生の越前亨(えちぜんとおる)は、感情の起伏が少なく、何に対しても誰に対しても思い入れを持つことがあまりない。
父親を病気で亡くしてからはワーカホリックな母と二人で暮らしており、父親が残した本を一冊ずつ読み進めている。
亨は、売れなかった作家で、最後まで家族に迷惑をかけながら死んだ父親のある言葉に、ずっと囚われている。
図書委員になった彼は、後輩の小崎優子(こさきゆこ)と出会う。
彼女は毎日、屋上でくらげ乞いをしている。
雨乞いのように両手を広げて空を仰いで、「くらげよ、降ってこい!」と叫んでいるのだ。
いわゆる、不思議ちゃんである。
くらげを呼ぶために奮闘する彼女を冷めた目で見、距離を取りながら亨は日常を適当にこなす。
八月のある日、亨は小崎が泣いているところを見かける。
そしてその日の真夜中、クラゲが降った。
逸る気持ちを抑えられず、亨は小崎のもとへ向かうが、小崎は「何の意味もなかった」と答える。
納得できない亨だが、いつの間にか彼は、自分が小崎に対して興味を抱いていることに気づく。
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