物語は、著者自身の分身とおぼしき小説家・古田信次が、郷里・岐阜に住む詩人・篠田賢作に、自分の年譜の作成を頼むことから始まる。<br />二人の会話を主軸に、美濃に関係の深い人物たちが、複雑に絡み合い、蜿蜒と繰り広げる人間模様。<br />愛する故郷の自然、風土、方言、歴史を取り込み、ルーツを探りながら、客観的に「私」を見つめる。<br />伝統的な小説作法、小説形式を廃した、独特の饒舌体による、新機軸の長篇小説。<br />虚構が生み出す新しい現実、自由奔放に展開する物語。<br />