深夜、整形外科医・棚田のもとに松雪颯太という青年が運び込まれた。<br />階段で、誰かに後ろから突き落とされたという。<br />身寄りもなく、謙虚で穏やかな青年と打ち解けていった棚田は、松雪が病院内で心配なく過ごせるように勤しむ。<br />だがある日、看護師から信じがたい話を聞き――。<br />『箱の中』『嫌な奴』の著者がおくる、人間の心の深いところをえぐるような、傑作短編集。<br />