故・丸谷才一氏が愛した、花柳小説の金字塔――温泉芸者の子に生まれ、水商売の中で育った夏子。<br />この宿命の絆を断ち切りたいと希いながらも、外に道はなく、夏子は15で芸者小夏となった。<br />純情を捧げた初恋の教師に裏切られ、夏子は日ましに「女」になっていく……。<br />若き日に色町に親しみ男女の機微を知る著者が、戦後の脂の乗りきった時期に書き継ぎ、「夏子もの」として人気を博した連作小説の第1作。<br />