直すのは人の心、自らの過去――フランスの田舎町を渡り歩きながら、中世フレスコ画の修復に打ち込む、孤独で風変わりな日本人男性・アベ。<br />名も無き人々が胸に秘めた想いに接し、さながら神父(アベ)のように彼らを受け止めるうちに、アベは町に溶け込んでいく。<br />人生の哀歓と男の手仕事の魅力を絡めて描かれた、著者独自の世界が広がる、5つの連作短編集。<br />