愛と性の業火に焼かれる中年男女の姿を嵯峨野の自然を背景に流麗に描いた文芸作品。<br />愛の魔性に翻弄される中年男女の真の姿――本能のまま、華麗に生きる可能子。<br />その可能子に、しもべのように従う中年男の柿本、そして一度は剃髪したものの、柿本によって再び煩悩を刺戟され、還俗をきめる端春。<br />京の嵯峨野を舞台にして、中年男女が性の業火に燒かれる姿を、文学的香気高く描く秀作。<br />著者出離後の、最初の長編。<br />