人間の生のいとなみは、いかに脆いものか。<br />微妙な心理の揺曳をすくいあげる短編傑作選。<br />永遠の生命を求め現実を照射する――生死の極限に立たされたとき、人間は何を観るか。<br />たゆたう心の奥底から、日常生活では把みえぬ真実の相貌が、少しずつ浮かびあがるにつれ、生のしたたかさにおののく。<br />沖縄での戦争体験を語る神父の懊悩と回心を描く表題作から、戦争・病い・孤独な老境など、それぞれの裸にむかれた人間の内面を描く12編。<br />