卵のふわふわ 八丁堀喰い物草紙・江戸前でもなし
江戸に拡がる暖かい煮炊きの煙。
人はね、当たり前のことがおもしろくないんだよ。
裏返しや逆さまが好きなのさ――のぶちゃん、何かうまいもん作っておくれよ。
夫との心のすれ違いに悩むのぶを、いつも扶(たす)けてくれるのは、喰い道楽で心優しい舅・忠右衛門だった。
はかない「淡雪豆腐」、蓋を開けりゃ、埒もないことの方が多い「黄身返し卵」。
忠右衛門の「喰い物覚え帖」は、江戸を彩る食べ物と、温かい人の心を映し出す。
◎「読み進むほどにページを繰るのが早くならずにはいられない小説がある。
この小説もそうだった」<塩田丸男「解説」より>
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