美しい港町、アカシヤ香る大連。<br />そこに生れ育った彼は、敗戦とともに、故郷を喪失した。<br />心に巣喰う癒し難い欠落感、平穏の日々の只中で、埋めることのできない空洞。<br />青春、憂鬱、愛、死。<br />果てない郷愁を籠めて、青春の大連を清冽に描く、芥川賞受賞の表題作。<br />ほかに『朝の悲しみ』『初冬の大連』『中山広場』『サハロフ幻想』『大連の海辺で』の、全6編を収録。<br />