僕が結婚するとき、お袋は別居を宣言した。<br />もの分りがいい、と喜んだが成行きは大違い。<br />買ってくれたクルマや電話がすべて、僕をひんぱんに呼びつけるための小道具だった。<br />僕にとってお袋の家が本宅、女房のいる家は妾宅並み……。<br />人生相談形式で、ドッキリするような人生、男女の機微を軽妙に描いた、出色の連作。<br />