お菓子の家の魔女
芥川賞作家から官能小説作家へと進んだ大ベテランの、妖美異色の伝奇趣味溢れる短編集――妻がお菓子を焼いている間に、男はその会に出席したのだった。
4人の驕慢な女性たちの白いお尻が、タイツからハート型に露出して輝いている。
男は苦しかった。
全く自由を奪われて肉体をもてあそばれているのは、えもいえず快よい。
(「お菓子の家の魔女」)…鞍馬の山に鬼が出た、という噂が京にひろまった。
雪が消えて炭焼小屋に戻ってきた木こりが、小屋の中に恐ろしいものを見た。
髪も髯もぼうぼうとのばしたすさまじい男が、人間らしいものをしっかとかかえこみ、股からむさぼり喰っていた、というのである。
(「姫君を喰う話」)…など4編。
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