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血の聖壇

芥川賞作家から官能小説作家へと進んだ大ベテランの力作8篇――「最近の同人雑誌のなかには性描写が露骨になってきたものが多い。
この風潮についてご批判を頂きたい」との依頼を出版社から受けた作家のもとに何冊かの同人雑誌が届けられた。
商業雑誌の小説のなかには金をめあてに書きとばされたものもあるだろうが、同人雑誌の小説は一字一字が血の一滴だと思いながら、同時に、その血の滴で書かれたに違いない性描写というものを読んでみたい誘惑に駆られる。
共感できない作品のなかに一編だけ心にひっかかるものがあった。
戦後新聞を賑わせた暴行殺人事件をテーマにしたらしく「血の聖壇」という題名であった。
……という表題作など8編を収録




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