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耽溺

芥川賞作家から官能小説作家へと進んだ大ベテランが、現代人の性をさまざまにとらえた力作8篇――私は子供のころから警官の凜々しい姿に憧れていた。
あの逞ましい肉体と鬱屈した精力の匂い。
そんな私も人並みに恋をした。
相手は同じ大学の秀才で、尖鋭な学生活動家だった。
偶然の機会から彼女の秘所をかいまみた私は、いっそう愛慕の念をつのらせていった。
デモに参加したのも、ただ彼女の軽蔑を恐れたためだった。
角棒と放水、罵声とシュプレヒコールの渦のなかで、警官は堂々と動き、彼女は美しかった。
そのとき、脳天に鋭い衝撃を感じて私は気を失ったのだが……。
という、被虐的な悦びを大胆に描く「耽溺」のなど8篇。




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