東海の強国駿河は、守護今川氏親(うじちか)の手で着々と覇道を進んでいた。<br />東に北条、北に武田、大国が激しく牽制しあう戦国の世、氏親とその妻妾の息子たちも、奇しき愛憎の闘いに巻きこまれてゆく。<br />野望のままに、広大な富士の裾野を馳ける武者の修験者たちの凄絶な生と死。<br />今川一族が興亡を描き切った傑作長編。<br />(講談社文庫)