嫉妬やつれ
夫がポケットにしのばせていた、女文字の手紙。
《夫を愛している女性がいる》……三千代はとまどった。
40歳をこして、冬眠した動物のように、枯れきっていた夫に、そんな情熱が、どうして甦ったのだろう……。
相手は若い女なのだろうか? 三千代は、夫の後をつけた。
そして見た、夫の情熱を呼びさました冴子という女を。
突然、三千代は乾きを覚えた。
忘れていた性の乾き。
雑踏の中で、稲妻のように体を突き抜けた思いに、三千代は戦慄する。
《私も夫を裏切ってみたい!》……中年夫婦の愛情の危機を繊細な筆でえがく、『嫉妬やつれ』はじめ、全10篇。
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