人斬り新兵衛
田中新兵衛は、鹿児島城下の船頭だった。
彼を薩摩勤王党に推挙したのも、商人から武士になった森山新蔵である。
尊王討幕の気運がみなぎる京にあって、新兵衛は、孤独な末輩でしかなかった。
やがて、彼が心から頼った森山新蔵は、寺田屋の変に連座し、あえなく切腹して果てる。
佗しく郷愁に身を焦がしていた新兵衛にも、ここで転機が訪れた。
酔って中座同心を斬ったのをきっかけに、九条家の諸太夫・島田左近を斬殺、首を三条河原に梟した。
旋風のように、人斬り新兵衛の名は、京洛に鳴り響いてゆくのだった。
そして、姉小路卿の暗殺……。
幕末転変の人生を描いた佳篇「人斬り新兵衛」はじめ、全12篇。
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