冬の菅平へ、木塚哲男と稲山洋子は、新婚スキー旅行にやって来た。<br />襖1枚の隣室のスキー客の含み笑いに、洋子は初めての夜をこばんでしまう。<br />翌朝、木塚は偶然逢った友人とともに、洋子を残して根子岳に出発、そして吹雪の山で道を失う。<br />救出された木塚の枕元で、洋子はうわごとに「美津子」と呼ぶのを聞いた。<br />……濃霧の高原、寒冷前線の乱流の中に展開する、青春画像を描いた長編力作。<br />