那智滝情死考
15歳で、京都五条の遊廓に身を売ったまきは、結核をかくしながら、男たちの相手をしていた。
なじみを重ねた政市は、伏見の輜重隊で、けもののようにいじめぬかれていた。
……ある日、廓を抜け出したまきと、兵営を脱走した政市の、からだをくくりあった心中死体が、熊野三山の聖域の那智滝で発見された。
相擁して飛瀑の底に身を投じた男女の悲運な道に思いをはせて、美しくも哀しい愛の姿を描いた傑作。
ほかに「蜘蛛飼い」「赤い毒の花」「真福寺の階段」「雪の下」を収録。
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