情事の配当
結婚7年め、子宝に恵まれぬのは、夫の体質が原因だと診断されたとき、絹子はむなしい虚脱感を味わった。
頼りきっていた12歳年長の夫の姿が、ひどく老化してみえる。
豊かな肉体をもてあましつつ、「ゴルフウィドウ」に甘んじなければならぬ絹子……情事への誘惑が心をゆさぶる。
相手は、証券セールスの時岡という青年だ。
夫の出張の夜、ついに彼女は甘美な悦楽にはしった――。
「この情事の配当がほしいわ」絹子の胸に悪魔がささやく。
彼女は夫に迫った「ね、私、人工授精をうけようかしら」。
が、事態は一変した。
時岡が事故死したのだ――という表題作ほか全10篇。
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