流旅の花
片山津から京へ出て、バー「きぬがさ」に勤める和江に、じわじわと押し寄せる黒い影……。
由緒ある禅寺・燈全寺の老師・碩堂、老師の妾でバーのマダム・歌子、謎の男・竹橋勝弘、彼を追う刑事たち……。
疑うことを知らぬ和江の眼にも、次々と腑に落ちない出来事が見えてくる。
そして突然、仏像偽造事件や贈賄事件が明るみに出され、雲水の承学に捧げた和江の純愛も、2人の支えとなるはずの天徳院の千手観音像も、虚しいものになってしまう。
古都の裏側に繰り展げられる色と欲の澱んだ関係、その渦中に翻弄されながらも強く生きようとする女を、スリラー風に描き上げた力作長篇。
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