生物化学研究所の若き学究・宮原は、街の暗がりで焦っていた。<br />手に持つスーツケースには、たとえようもない邪悪なものの幼生が収まっていたから。<br />追っ手をかわし、早くこれを処分しなければ、人類に明日という日はなくなる。<br />しかし、それはあまりに巨大な力へのはかない抵抗にすぎなかった……。<br />映画「ゴジラ」の原案を担い、怪獣という存在を生み落とした怪奇小説家が、遊星から来た圧倒的な恐怖にあらがう人々を、ミステリータッチで描き出す。<br />