練塀小路の河内山宗俊、天下の直参、お数寄屋勤めのお坊主である。<br />ばくちは打つ、ゆすりはする、悪い野郎の肩は持つ、病気と届けて城へも登らず、肝っ玉の太さは天下一品。<br />11代将軍・家斉の治世、賄賂が物言い、奸臣のさばる腐った巷で、悪には悪を、弱い者には情けをと、直参の威光を利用して、胸がすくようなやりたい放題。<br />子母沢寛の名調子が心地よい、痛快時代小説。<br />