不貞な貞女
加奈子が地方の素封家に縁づいて、もう5年。
夫・浩介は、長い病床にふせったままだ。
看病に明け暮れる加奈子も、いつか貞女の幻を心にえがいていた。
が、そんな妻に、夫は画廊勤めを勧める。
《きみのからだの外のにおいが、僕には爽かな刺激になる……》ーー勤めに出た加奈子は、青年建築家・植木との恋におちた。
女心の飢えをみたす、背徳の愛に、加奈子はおののく。
が、夫はすべてを知っていたのだ。
やがて、臨終の枕もとに妻をよんで、心の葛藤を告げる浩介。
美貌の妻に、くらい喪の季節が訪れた……。
という表題作など、全10編。
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