越智さんは齢50を越えた、鎌倉の人里離れた地で執筆に追われる、人気の小説家である。<br />結婚25年の千代子さんと2人の男の子、お婆ちゃんとお手伝いのお啓と暮らしている。<br />一見穏やかな世間にある日々だが、酸いも甘いもかみ分ける越智さんにとっては、人生模様のドラマを垣間見る毎日でもあった。<br />老いも若きも男も女も、町の親分も謹厳な弁護士も、動物たちも、悲喜こもごもに思いを語りだす、10篇の連作ユーモア小説。<br />