【期間限定 試し読み増量版】あの日なら、僕はすべてを捨ててしまうことができた。<br />仕事も家庭も金も、何もかもをあっさりと捨ててしまえた。<br />――ジャズを流す上品なバーを経営し、妻と二人の娘に囲まれ幸せな生活を送っていた僕の前に、十二歳の頃ひそやかに心を通い合わせた同級生の女性が現れた。<br />会うごとに僕は、謎めいた彼女に強く惹かれていって――。<br />日常に潜む不安と欠落、喪失そして再生を描く、心震える長編小説。<br />