夜の専務
夜の専務、といわれる彼の仕事は世の裏面に直結することが多い。
たとえば愛人譲渡式の立会人。
大臣の羽沢が愛人の貝塚ラクを財界人の九段に譲渡した。
羽沢が九段に向って、「今夜より貝塚ラクとは縁を切り、貴殿に進呈します。
よろしくな」というそのかたわらに、彼は重々しく正座しているわけである。
こうして貝塚ラクは九段の所有物となったが、どうしたわけか、九段は1週間ののちにポックリと死んでしまう。
いわゆる腹上死とよばれる死に方であった――。
表題作他6編を収録した短編集。
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