檸檬の棘
絶縁して10年――。
私はまだ、父に囚われ続けている。
歌手にして作家、唯一無二の才能がはなつ渾身の私小説。
こんなふうに鮮やかに世界を描写する言葉があったのかと、ページを繰るたびに衝撃を受けました。
澄み切った劇薬のような、忘れ難い物語です。
――小島慶子(エッセイスト)挨拶もなく消えた父。
「特別な子供」になりたかった十四歳の栞は、父への怒りを拠り所に青春期を過ごす。
十年後、父がもう長くないとの連絡が入る。
あれだけ囚われ、憎しみ続けた存在が死ぬ――。
空虚な現実を前に、栞の胸に去来するものは。
鋭利な筆致で心を抉る、歌手にして小説家の異才が放つ魂の私小説。
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