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求愛

人は、死ぬまで、愛を求める。
大病からよみがえった著者が、執筆に執念を燃やし続けてたどり着いたさまざまな「愛」のかたちをつづる三十篇。
数え年九十五歳にして初の、寂聴・掌(てのひら)小説集。
父親が行方不明、男を作った母親に家から追い出された「私」は、伯母の家で従妹の艶(つや)と兄妹のように育つ。
「うちと兄ちゃん、いいなずけやもん」と慕ってくる艶と夫婦になるが……。
(「許婚者(いいなずけ)」)●エッセイストの早苗の家に、その日、一通の封書が届いた。
差出人の住所はなく、ただ名前だけがあった。
二十年前に死んだ、昔の男の名だった。
(「恋文の値段」)●「おれ」より四十一歳年上の栞は、九十一歳だが若々しい。
ケータイの電話とメールを使いこなし、世界を飛び回る「おれ」と繋がっている。
南米の土産物「どりーむ・きゃっちゃー」を渡して以来、彼女から深夜の電話が来るようになり……。
(「どりーむ・きゃっちゃー」)




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