深川の長屋で独り暮らしのお絹。<br />三年前までは、松前藩家老の妻だったが、夫を殺され息子勇馬は行方不明。<br />小間物の行商をして、勇馬を探し続けている。<br />商いを通じて、同心の持田、茶酌娘などと親交を深めるうち、様々な事件に巻き込まれ、それぞれの悩みに共感し奔走するが……。<br />船宿の不良娘と質屋のどら息子の逃避行、茶酌娘の縁談、そしてお絹に芽生えた静かな愛。<br />下町の人情が胸に染みる時代小説。<br />